中国の大手仮想通貨取引所のBINANCE(以下、バイナンス)は、2021年6月にNFTマーケットプレイスである「BINANCE NFT」をリリースすることを発表しました。
実はBINANCE NFTは、2021年4月30日にリリース予定が公開されており、今回の発表でNFTマーケットプレイスの実現がより明確になったといえます。
今回は、すでに公開されている情報をもとに、BINANCE NFTについて解説していきます。
BINANCE NFTとは
BINANCE NFTとは、中国の大手仮想通貨取引所であるBINANCE社が運営予定のNFTマーケットプレイスです。
2021年4月30日に、BINANCE社の公式ブログ「Binance Blog」にて、2021年6月にBINANCE NFTの存在と、2021年6月にサービスがスタートすることが公開されました。
2021年初期から、ブロックチェーン界隈で盛り上がりを見せているNFT(非代替性トークン)。中国国内でも最大級の仮想通貨取引所を持つBINANCEも近々NFTマーケットに参入すると考えられていました。
実際に、BINANCE系列の企業が運営するtreasurelandは、BINANCE(バイナンス)が運用するBinance Smart Chain(BSC)を利用したマルチチェーンのNFTマーケットプレイスです。Treasurelandは、一般的なNFTマーケットプレイスで利用されるEthereumの取引手数料であるGAS料金が高騰したため、より安価なBinance Smart Chain(BSC)を採用しました。その結果、NFTマーケットプレイスでかかる手数料が非常に安くなりました。
今回発表されたBINANCE NFTは、treasurelandとは異なり、OpenSeaといった他のNFTマーケットプレイスと同様に、ETH(イーサリアム)といった知名度が高い仮想通貨での決済に対応すると考えられます。
BINANCE NFTのメリット
BINANCE NFTのメリットは以下の3つです。
- 大手仮想通貨取引所BINANCEによる集客力
- 「Premium Event」という著名クリエイター専用マーケット
- 1~10%という販売手数料の低さ
大手仮想通貨取引所BINANCEによる集客力
BINANCE NFTの魅力は、なんといっても大手仮想通貨取引所のBINANCEの知名度による集客力です。
NFTマーケットプレイスは、フリマアプリと同様に、出品するクリエイターと、作品を購入するバイヤー(コレクター)をマチングするビジネスモデルです。つまり、両サイドの集客が必要となり、どちらか片方だけの集客に偏ることは運営上難しいです。
その点、世界中に1,000万人を超えるユーザー数を持つBINANCEは、その強い集客力で有名なクリエイターや、仮想通貨ユーザーを自身のNFTマーケットプレイスに取り込むことができるでしょう。
クリエイター側もバイヤー側も、ユーザー数が多いサービスを利用するインセンティブが働くため、BINANCE NFTは既存のNFTマーケットプレイスよりもユーザー数を大きく伸ばす可能性があるといえます。
「Premium Event」という著名クリエイター専用マーケット
BINANCE NFTには、「Premium Event」と「Trading Market」と、2つのサービスカテゴリーがあります。後者の「Trading Market」は、OpenSeaのような既存のNFTマーケットプレイスと同じサービスです。
一方の「Premium Event」は、有名なNFTクリエイターのみが出品できるNFTマーケットプレイスとなるようです。具体的にどのクリエイターが参画するかはまだ不明ですが、有名なクリエイターが出品することで、BINANCE NFTがより盛り上がることが予想されます。
特に、すでに知名度が高いクリエイターと、一般的なNFTマーケットプレイス機能を分離することで、NFTを高額販売・取引したいニーズと、単純にNFTを取引したいニーズをうまく分けている点が特徴的です。
1~10%という販売手数料の低さ
BINANCE NFTの最大の特徴は、その手数料の低さです。
- Premium Event:10%
- Trading Market:1%
既存のNFTマーケットプレイスでは、クリエイターが出品するたびに、約25%もの手数料が取られることがケースが多いです。
実際に、大手NFTマーケットプレイスのOpenSeaでは、出品時に25%の手数料がかかります。また他のNFTマーケットプレイスの出品手数料も25%ほどとなっており、25%が業界平均となっているといえます。
ところが、BINANCE NFTの「Premium Event」では、クリエイターに売り上げの90%を支払う、つまり出品手数料を10%に設定しています。これは業界平均の25%に比べて、圧倒的に低い手数料利率です。
クリエイターの多くは手数料を気にすると思いますので、他のNFTマーケットプレイスより手数料が安いBINANCE NFTに移ってくるクリエイターが増えるかもしれません。
さらに、「Trading Market」で出品した商品が売れた場合は、BINANCEは1%の手数料しかとらず、二次流通の場合は、元々のクリエイターや出品者に1%のロイヤリティが支払われます。
BINANCE NFTにはすでに100人のクリエイターが参加予定
2021年3月から、NFTサービスの開始を発表していたBINANCE NFTですが、すでに大物クリエイターの参加が発表されています。2021年6月には、Lil Yachty, Kyle, Guti, Frank Holliday, Nyan Sumといった大物クリエイターのNFTサービスへの参加が発表されました。
さらに、6月7日には「100 Creators」という名前のプロジェクトが公開され、すでにBINANCE NFTへの参加を決めたクリエイター100人の名前が発表されました。
ちなみに、100人というクリエイター数は、ローンチ仕立てのNFTサービスとしては、比較的多いです。世界最大手のNFTマーケットプレイスである「OpenSea」のクリエイター数は約3,700人と圧倒的ですが、「Rarible」は約500人のため、リリース前からかなりのクリエイターを獲得したといえるでしょう。
NFTマーケットプレイスは、NFTを販売するクリエイターと、NFTを購入・取引するコレクターが集まらなければ成立しません。すでに100人のクリエイターを獲得したBINANCE NFTのクリエイター数とコレクター数を合わせたユーザー数がどれくらいになるか注目です。BINANCEの口座保有者数は、すでに600万人を超えていることから、このユーザー層がNFTサービスを利用すると、かなりのユーザー数を獲得できそうです。
BINANCE NFTの登録方法
BINANCE NFTは、BINANCEの口座があれば誰でも利用できます。
今後のBINANCE NFTの最新情報は、BINANCEのNFT専門家達が週替わりに公開しているNFT Tuesdaysにて確認できます。
また、BINANCE NFTのテレグラムやメルマガでも情報を発信しているようです。気になる人は、BINANCEの口座を開設し、ぜひ登録してみてください。