Openseaがロイヤリティフィー(2次流通手数料)を実質撤廃へ
2023年8月18日のOpenseaのブログで以下の仕様変更が発表されました。
- OpenseaでNFTクリエイターがロイヤリティを設定できなくなる
- 今後はNFTの売買者がクリエイターフィーを自由に設定できるようになる(実質廃止)
- 新しいコレクションは8/31から適用、既存のコレクションは2024/3/1よりコレクターがロイヤリティを設定可能な仕様に変更される
- 2023/8/31にOpensea以外でのNFTマケプレへの出品をブロックする「OpenSea Operator Filter」を廃止
- クリエイターフィーは任意のまま
今回の発表では、ロイヤリティフィーの決め手がNFTクリエイターではなく、NFTのトレーダーになることが大きな変更点です。
ただし、ロイヤリティフィー自体は任意のままでなくなることはないようです。
2022年11月、私たちはOperator Filterを導入しました。これは、クリエイターがセカンダリセールにおけるクリエイター手数料を適用するweb3マーケットプレイスに制限をかけるツールです。これによって、クリエイターは自身のweb3ビジネスモデルをより制御することが意図されていましたが、これにはweb3エコシステム全体の支持が必要であり、残念ながらそれは実現しませんでした。そのため、私たちはクリエイター手数料のアプローチにいくつかの変更を行うことにしました。
変更内容
2023年8月31日(木曜日)から、選択的なクリエイター手数料をOpenSeaで導入し、この分散型エコシステムを推進する選択と所有の原則をよりよく反映するよう努めます。大まかな内容として、以下の4つの主要な変更点があります:
2023年8月31日にOpenSea Operator Filterを廃止します。これにより、この日以降、Operator Filterはいかなるマーケットプレイスもブロックしなくなります。
2023年8月31日から2024年2月29日まで、OpenSeaは8月31日以降のセカンダリセールにおいて、Operator Filterを事前に有効にしたコレクションとEthereum以外のブロックチェーン上の既存コレクションにおいて、クリエイターが指定した優先手数料を適用します。
2023年8月31日から、購入者がクリエイターの優先手数料が含まれたセカンダリリスティングを簡単に見つけられるようにします。
2023年8月31日から、売り手がクリエイターの優先手数料を選択するか、クリエイター手数料の支払いをカスタマイズしやすくします。明確に言っておきますが、クリエイター手数料はなくなるわけではありません。効果のない単独な強制がなくなるだけです。
出典:Opensea公式ブログ
Openseaのロイヤリティフィー実質廃止に対する反応
OpenseaのロイヤリティフィーをNFTクリエイターではなく、NFTの売買者が設定できることは、改悪と言えます。
なぜなら、ロイヤリティフィーをもらうNFTクリエイターの収益が下がる可能性があるからです。
これまでOpenseaはNFTクリエイターの収益を守るスタンスでしたが、今回の変更はNFTクリエイターにとってはデメリットしかないので、反応としてはあまりよろしくありません。
OpenSea、クリエイターへのロイヤリティ還元システムの変更へ
⚡3/1以降、全てのNFT取引でロイヤリティ支払いが二次流通出品者側の「任意」となる
⚡特定のマケプレをブロックするOperator Filterは8/31に廃止
ロイヤリティを守る試みは、支払いを避ける方法での取引が増大したことで失敗となった pic.twitter.com/DeflRYmCrW
— miin l NFT情報コレクター⚡ (@NftPinuts) August 17, 2023
【OpenSea改悪】
これまでは、作品を売ったときに作者にお金を払う「クリエイター手数料(ロイヤリティってやつ)」がありましたが、これからは作品を買う人(コレクター)が自分でそのお金を決めることができるようになります💀✅新しいコレクション:8月31日から新しいルール開始… pic.twitter.com/cC6TqidJ9z
— HONEMARU (@honemaru_NFT) August 18, 2023
Openseaがロイヤリティフィーを実質廃止にした理由
公式ブログによると、ロイヤリティフィーの実質廃止には、以下の背景があるようです。
- Operator Filterを導入したがNFTマケプレやアグリゲーターのせいで制限が聞かず効果がなかった
- ロイヤリティフィーはOpenseaの収益モデルの1つだが他の収益源を見出す必要があるため
- ロイヤリティフィー以外で収益を立てるようにエコシステムを変更する必要があるため
なぜうまくいかなかったのか
OpenSea Operator Filterを導入して以来、いくつかの重要な観察結果がありました:
- Operator Filterはエコシステム全体の支持に依存して成功する必要がありましたが、それが実現しませんでした。
- 過半数の取引がクリエイター手数料を設定せずに行われており、その傾向はこの年間を通じて着実に拡大しています。Operator Filterを回避するためにいくつかのweb3マーケットプレイスやアグリゲーターが対策を講じており、Operator Filterがクリエイター手数料を適用しないプラットフォームでも利用される場合、Operator Filterはそれらをブロックすることは技術的に不可能です。このため、解決策はエコシステム全体の均一な運用が必要であり、その弱点によって効果が決まるものとなります。残念ながら、エコシステムはOperator Filterを採用しませんでした。
- クリエイター手数料に対する選択肢は、コレクターとクリエイターの両方にとって重要です。
- コレクターがNFTを購入する際、それは証明可能な一意のデジタルアイテムであり、そのアイテムに対する完全な所有権とコントロールが前提とされています。コレクターはアイテムを保持したり、売却したり、破棄したりすることができます。Operator Filterによる制限は分散所有権の代償となります。したがって、これらの変更により、コレクターにクリエイター手数料に関する柔軟性と選択肢を提供します。
- 最後に、そしておそらく最も重要なのは、クリエイター手数料はweb3におけるクリエイターにとっての多くの収益ストリームのうちの1つに過ぎず、私たちの役割は単一のユースケースやビジネスモデルを超えたイノベーションを推進することです。
- NFTテクノロジーの潜在的な応用と有用性は、クリエイターが転売のみを収益化する単一のビジネスモデルに完全に依存することは難しいほど多様です。私たちは新しいユースケース(デジタルおよび物理的な引き換え可能アイテムから始まる)を推進し、これらのユースケースをプライマリおよびセカンダリの経験全体で効果的に展開するために、大部分のロードマップを割り当てています。
出典:Opensea公式ブログ
Openseaのロイヤリティフィーに関する変更内容
- 2023年8月31日までにOpenSea Operator Filterを使用している既存のコレクション:
- 2024年2月29日まで、OpenSeaは指定されたクリエイター手数料を適用します。その後、クリエイター手数料は任意となります。
- Ethereum以外のブロックチェーン上の既存コレクション:
- 2024年2月29日まで、OpenSeaは指定されたクリエイター手数料を適用します。その後、クリエイター手数料は任意となります。
- 新しいコレクション:
- 2023年8月31日以降、すべての新しいコレクションにおいてクリエイター手数料は任意となります。
- OpenSea Operator Filterを使用していない既存のコレクション:
- 変更はありません – クリエイター手数料は任意となります。
変更の実際の内容
変更は2023年8月31日(木曜日)に効果を発揮し、購入者、売り手、およびクリエイターに対するアップデートが含まれます:
クリエイターに対して:購入者および売り手に対して、クリエイターの優先手数料がより明確になるよう、私たちは体験をアップデートしました。
2023年8月31日までにOpenSea Operator Filterを使用している既存のコレクション:
2024年2月29日まで、OpenSeaは指定されたクリエイター手数料を適用します。その後、クリエイター手数料は任意となります。Ethereum以外のブロックチェーン上の既存コレクション:2024年2月29日まで、OpenSeaは指定されたクリエイター手数料を適用します。その後、クリエイター手数料は任意となります。
新しいコレクション:2023年8月31日以降、すべての新しいコレクションにおいてクリエイター手数料は任意となります。
OpenSea Operator Filterを使用していない既存のコレクション:変更はありません – クリエイター手数料は任意となります。
購入者に対して:コレクションページにフィルターを追加し、クリエイターの優先手数料を支払うリスティングを探しやすくします。また、これらのリスティングをアイテムページで明確に表示します。
出典:Opensea公式ブログ
公式ブログでは、ロイヤリティフィーの変更方法に関して、UIが公開されています。
Openseaの購入者のロイヤリティフィー設定の画面
購入者がクリエイターの優先手数料を支払うリスティングを探しやすくするために、コレクションページにフィルターを追加しています。
また、これらのリスティングをアイテムページ上で明確に識別しています。
Openseaの販売者のロイヤリティフィー設定の画面
売り手がリスティングを作成する際に、クリエイターの優先手数料を選択するか、独自のカスタム手数料を設定しやすくなります。
更新されたデザインで、カスタマイズ可能なクリエイター手数料を強調したリスティング画面
更新されたデザインで、クリエイター手数料を強調したオファー承諾画面